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「中国企業によるウクライナ軍事企業買収」について

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ウクライナの軍事企業が中国に買収されるということで、騒ぎになっている。 問題のウクライナ企業は「 モトール・シーチ 」社。 これまでに航空機・艦船用ガスタービンを開発してきた。 報道によると、中国企業による同社の買収について、米政府が大いに懸念を示しているという。 ロシアとウクライナの関係悪化は、モトール・シーチ社の業績を極端に悪化させた。 ソ連崩壊以後、ウクライナの航空産業は死に体であるし、そもそもモトール・シーチ社の最大の顧客はロシア航空産業であった。 昨年には、 モトール・シーチがロシアに軍用航空エンジンを密かに売却 していたことがウクライナ国内で問題になっている。 そんなモトール・シーチが生き残りに必死であることはよくわかる。 現在、ウクライナの軍事産業の最大のお得意様は中国である。 中国側の買収の動きが明らかになったのは2017年頃なのだが、日本国内ではほとんど報道されなかった。 2017年は「一帯一路」戦略に基づく動きが活発化した年であった。 この頃、ベラルーシの軍用大型車両、ディーゼルエンジン大手のMAZも、中国のディーゼルエンジン大手「潍柴」と 合弁会社 を設立している。 モトール・シーチ社買収の主体となっているのは中国の大手通信メーカー「 中国信威集团 」の系列企業である「 北京天骄航空产业投资有限公司 」である。 ウクライナ側も国防産業が外国資本参加に入ることを懸念したのであろう、2017年4月には司法が モトール・シーチ社に強制捜査 を行ったようだが「シロ」と判断された。 その1か月後には当時のウクライナ第1副首相が 北京天骄航空产业投资有限公司を代表団と共に訪問 し、協力関係をアピールしている。 上の写真はその際撮影されたもの。 左がウクライナのクービウ第1副首相(当時)、右側が中国信威集团の会長である王靖だ。 王靖 は44才。これまでに ニカラグア運河建設やセバストポリ港の浚渫事業に投資 し、中国財界に話題を提供してきた。 非常に謎めいた人物とされ、若い頃は医学を学び病院に勤務していたが、投資に関わり短期間で 中国信威集团トップに至った経歴は曖昧模糊 としているようだ。 信威集团は中国の大手通信会社として知られている。 2014年からは人工衛星事業に参入し、低軌道通信衛星